MINARI COFFEE

第一章「MINARI COFFEE」


とにかく始めよう、取材のアポを取ろう!
でも誰に声をかけるんだ?と悩んでいた。
はじめの一歩は自分の得意、詳しいものにしよう。
いつでも僕の人生はコーヒーからはじまる。
私はひみなり写真館、こちらはMINARI COFFEE。
こんな偶然はあるだろうか。
行かないなら始まらないだけ、断られたら挑戦の一歩。
行っちまえ!この一声で突撃した。
ここからはじまるんや!

取材当日


到着09:56
既にお客さんが一人待っていた。
お客さんがいなくなってからさっそく挨拶に伺った。
高鳴る鼓動、緊張が体を震えさせたが落ち着かせるためにさっそく写真を撮らせていただいた。


ドリップコーヒーを頼んでその風景を撮らせてもらえればなと思っていたらまさか、エスプレッソマシンまで説明をしていただいた。
歓迎していただいたことに非常に嬉しく思う。
1958年製造のオランダで使用されていたFaema製エスプレッソマシン。
あえて外観の錆などはそのままにしてある。

このエスプレッソマシンがどのような場所にあり、どのような景色を見てきたのか。


今どき、ボタン一つで抽出が始まるものが多いがレバー式は珍しい。
スプリングによって圧力がかかるので多少の強弱があるらしく、この強弱こそが美味さの秘訣なんだとか。
人の下げる速度、上げる速度によって味の変化まで楽しめるらしい。
こういったことからイタリアでは敢えてレバー式のエスプレッソマシンを採用しているお店もあるのだとか。
また、一度のコーヒー豆で二回抽出するやり方もあるらしく
要はお茶の二杯取りと同じだからどんな味なのか?渋みや苦みが強くよりビターで重厚なのか?
考えるよりも体験してみることが一番の近道だが、こう考えてみるのも良い時間。
コーヒー文化、淹れ手の哲学の広さを感じられる。
また、このエスプレッソマシンは自動給水ではないのでこのメーターを見ながらお湯がどれくらいあるのかを見き分けなければならない。
水を入れたらすぐにお湯になるわけではないので大量注文が入る前に備えているとのこと。
また水がなくなると空焚き状態になり故障する。
手間がかかるほど愛着がわくというものだろう。

クレマたっぷりで抽出される様はホンモノを感じさせる

たくさんコーヒーを楽しんできた私だがエスプレッソを見るのは二回目。
高校生の時にはじめてエスプレッソを頼んでそのサイズ感に大笑いしてバカにしたのは忘れられない。
砂糖を一袋いれるか二袋いれるかはお好みで。
一袋の場合、溶け切るが二袋の場合は溶け切らないので底に沈んだ甘い砂糖を最後にスプーンですくって食べるのが通な楽しみ方。

そのお味はドリップコーヒーより何倍も濃い。いやな濃さではなく濃密で濃厚。
甘みを苦さが包み込むような、ビターチョコのよう。
例えるならオランジェット。
余韻は長く、お水を飲んでもまだ続く。
また、イタリア北部ではスペシャリティコーヒーのような上品なものが多く、南部では古典的なクレマたっぷりのエスプレッソが楽しまれていることも教えていただいた。


そんな話をしているとお客さんが続々と入ってきた。
ふと時計を見ると40分も経っていた。


友人とだろうか?コーヒーを二杯購入する方、豆を購入してエスプレッソをクっと飲んで帰るカッコイイおっちゃん。
他はテイクアウトだがエスプレッソは店内飲食のみでこのお店が目指しているのはイタリアのバールなのだろうと感じ取れる。
イタリアの話を聞くに、店主さんが現地の文化に惹かれていることが伝わってきた。

またドライブスルーで購入するお客さんにもコーヒーを淹れて一気に大忙しだ。
また先ほどまで楽しく感想を言いあったりしていたがお客さんが来るとスイッチが入ったかのように真剣に取り組む姿には圧倒された。
お客さんとのコミュニケーションは欠かさず、丁寧に豆の説明をしている姿も見られた。
友人なのだろうか?それくらい笑顔で接客する姿に笑顔は人を惹きつけるんだなと感じ取らせた。
それからも家族で購入する方、トラックドライバー、持ち込みのタンブラーにだって入れることができる。
受け取るとコーヒーの香りを嗅ぐお客さんの姿も。
私もコーヒーを淹れるのでわかるがこれは淹れ手冥利に尽きる。

コーヒーをドリップする傍ら、注文を聞きカフェラテ作りも行う。
レバー式のエスプレッソマシンに手をかけグッと手を下に降ろす動作。
じわっとコーヒーが垂れ滑らかにカップに注がれる。
相方の作業もチラリと見ながら注文を捌くお二人はテキパキと一切の無駄がなかった。


私もドリップコーヒーを飲ませていただいたが深煎りブレンドはコクがありながら透明感がありフローラル、余韻が長い。
中煎りブレンドは口当たりなめらか、ワイニーというよりスッキリフルーティ。
シングルオリジンではないブレンドならではの味わいの広がり。
自分が普段淹れるコーヒーとは違う世界が広がっていた。

そんなMINARI COFFEEさん。
行かないなら始まらない。

あの日、自分にそう言い聞かせて飛び込んだ一軒のコーヒー屋。

MINARI COFFEEで過ごしたこの時間が、ひみなり写真館の第一章になった。



よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次